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#013 【雑談】『妄想鉄路 第3号』と「1999」


 こんにちは、晴凪です。

 

 今回は、先日公開されました広報誌『妄想鉄路 第3号』についての話題をお話しします。

 

 前身企画「#架空鉄道で旅行しよう」から含めますと合計5冊目となり、どこかでスペシャル感が感じられる一冊となっております。

 

 第3号では、創作・コラムの合計が8本でしたので、途中に挟むショート企画を考慮して、2本ずつのペアを4つ作るような形で掲載順を並べています。したがって、何かしらの共通点があったりします。また、コラム作品をバランス良く配置するために、1・4・7番目となるように置いています。

 

 今号のショート企画は、大きく分けて2つありました。まず、テーマ特集が「このミニ路線がすごい!」。関東圏・名古屋圏の、素敵なミニ路線が取り上げられております。個人的には「こどもの国線」の変遷に驚いたりもしました。欲をいえば、関西圏やローカル線の路線もあったら……という形ですが、次号以降でこのテーマも扱いやすくなるので、良しというところでしょうか。第4号では、テーマ特集の形式を少し変えて、創作・コラムに次ぐ第3の柱を確固たるものにしたいと思います。

 

 そして、企画の内容上、シークレット扱いにしていた特別企画が「音で旅する架空鉄道」という、アナウンスを前面に出したコーナーです。前身企画時代に作品の朗読でコラボをさせていただき、それ以来のご出演となります。この企画のために、令夏鉄路社内に「隠しページ」を作成して企画概要を掲載したうえで、何名かの方に参加打診を私が行いました。まるでテレビ番組の「YOUは何しに……」や「充電させて……」、「オモウマい……」のような緊張感を味わいました。

 

 まずは、ご参加いただいた皆様、コラボ相手のKAKアナウンス様に感謝を。そして、企画の内容をギリギリまで伏せていただいた全ての方々にも感謝を申し上げます。

 

 今は、KAKアナウンスさんのYoutube(アナウンス動画編集後記の2本)を音楽代わりに聴きながら、このブログを執筆しています。地域ごとの発音の特徴や、各架空鉄道さんの特色がよくわかる話でした。放送原稿のテンプレは作成してはいたものの、やはり、自由度が高い方向にしたことにより、各社の個性がより出やすくなり良かったと思います。

 

 この企画では、一度灘急さん・かえでんさんからの原稿を私が集めて、晴凪の瑞急原稿を加えて、KAKさんに原稿を提出しています。その後、KAKさんと各社さんそれぞれが細かい打ち合わせを行ってチェックを実施し、全員のチェックを得た後に晴凪が一度視聴してそのまま公開、という流れでした。本当に素晴らしい動画が作成されていたなあ、と心より思います。改めてですが、有難うございました。

 

 さて、ここからは、自作「1999」についてのお話です。

 あえてですが、瑞急文学の時系列を一度まとめておきましょう。

 

 ・「深夜急行の夜」(1~11話:2016年10月~2017年1月)

 ・「深夜急行の夜」(12話:2020年7月)

 ・「水色」(特に年代は言及されていないが近年)

 ・「祭のあと」(2021年10月2日)

 

……と、年代が明らかになっていない「水色」(※『妄想鉄路 第1号』掲載)を除いてほぼ時系列順になっていました。その中で過去の年代の作品を描いたのが今作「1999」でした。タイトルにも書かれている通り、この物語は1999年3月26日(金)が舞台となっています。ただし、作中では「1999年」が直接言及されていないのが特徴の一つになっています。具体的にはヒットの音楽や当時の時事ネタで間接的に説明しているという程度で、「99」という数字自体も『銀河鉄道999』という曲のタイトルに登場するくらいとなっています。

 

 この年は私がまだ小学生にもなっていない幼さでもあり、曖昧な記憶に確かな情報を加えながら、自分なりにフィクションの物語を描いたものとなっています。

 

 ブログを執筆している2022年3月から見れば先月にあたる、地元のコミュニティFM「FMひらかた」の閉局がかなり執筆に影響を与えたのは間違いなく、作中でのラジオの重要性は高いものとなっています。1999年は作中にも登場した『だんご3兄弟』や宇多田ヒカルの大ヒットだけでなく、モーニング娘。が『LOVEマシーン』でヒットを飛ばし、11月にはあの嵐が『A・RA・SHI』で鮮烈なデビューを飾るなど、音楽が一つの時代を作っていた年でもありました。CDセールスは前年に引き続いてピークを迎え、ミリオンセラーのシングルが10作以上も誕生しました。例の震災の後、コミュニティFMは注目され、各地で開局されていきます。同時にテレビも一つの時代を作っていたことから、あの選曲にもなっています。

 

 架空鉄道を災害と絡めないでほしい、という方も一定数居られるでしょうが、大阪や神戸を舞台として出すのであれば必ず向き合わなければならないもの、と考えます。日本はそういう国なので、歴史を遡れば必ず何らかの出来事に遭遇するでしょう。それらの災害に負けないように、沢山の人々の想いを集めて強くなっていったのが「日本の鉄道」です。世界に誇る「日本の鉄道」です。どうか、その事実を忘れないでほしいと思います。

 

(もちろんですが、実在地域における架空の災害や、実在鉄道の運行を妨げるような運行情報ツイートなどは、全く好みません。実在鉄道をリスペクトされている方が作る架空の鉄道ですから、実在鉄道さんへの迷惑となることが無いようにするのは当然だと思います)

 

 ある方は、主人公のラジオDJ「深沢真也」の名字を見て、おやっ?と思ったのかもしれません。

 完全に『深夜急行の夜』のネタバレになりますが、過去作『深夜急行の夜』第10話では深沢真子(結婚後は高崎姓)の年齢が、2017年時点で44歳と紹介されています。したがって、1999年時点では26歳。そして、「1999」の主人公でもある深沢真也は、作中では20代後半と紹介されています。名前の「真」と名字が同じで、年齢が近い……ということは、何かあるかもしれません。いずれ、何かの作品で描く可能性があります、とだけ。

 

 1999年当時は、ユーゴスラビア付近もそうですが、世界のどこかで戦争が繰り広げられている年でもありました。まさか、この「1999」の執筆時にウクライナであんな出来事が起きるとは思いもしませんでしたが。そこでクローズアップされているのが、ウクライナやロシアからの避難手段です。テレ東の『WBS』だったと思うのですが、1日数便程度しか運行されていなかった国境を跨ぐ鉄道路線が注目されている、とのことでした。乗用車やバスなどと比べて、一度に運搬できる人数の多い鉄道。今後も、罪のない人々を遠くへ避難させるため、活躍してくれることでしょう。そして、周辺地域の平和を心よりお祈り申し上げます。

 

 広報誌『妄想鉄路』は「内容は架空」で、コラムは「諸説あり」というのが一つの方針であったりします。前書きの「おことわり」に記載している通りで、基本的にはどんな記事・物語でも掲載する、というスタンスです。したがって、わざわざ個人の文章内で「架空です」「間違っているかもしれません」と記載することは全く必要ありません。というより不要です。

 

 些細なことで表現の幅が狭まることのないよう、第4号以降も自由な方向性で誌面を彩っていければと思います。さて、次号は2022年9月頃の刊行に向けて、準備を進めていきたいと考えております。お楽しみに!